渡辺淳一といえば「失楽園」や「愛の流刑地」などの恋愛物から「鈍感力」などのエッセイも書かれている北海道出身の作家です。
渡辺淳一の作品の多くが映像化されているので、小説などを読むことが少ない私でも知っています・・・(笑)
最近知ったのですが、渡辺淳一は「土木関係の小説」も書いていたそうで、私も読んでみました。
タイトルは「峰の記憶」
１９７０年代初頭の北海道大雪山系トムラウシ山近辺が舞台で、上富良野と新得を結ぶ大雪山縦貫道路を担当する北海道開発局の現場所長が主人公です。
もちろん、そんな道路は現存せずフィクションなのですが、かなり下調べをしたのか開発局の内情がリアルです(笑)
主人公は、今では少なくなった「技官」と呼べる土木技術者で、工事を行う使命感と自然保護について苦労をしていきます。
私も「自然を守りながら道路を作りたい」という思いで「土木技術者」を目指したので、とても興味を持って読むことができました。
主人公は、開発局の職員として自然を出来るだけ守る工法を選択するのですが、上司や効率を求める施工業者と対立していきます。
反面、自然保護団体の反対運動の矢面に立たされます。
恋愛なども織り交ぜながら、役人としての葛藤などが描かれます。
最後はあまりハッピーエンドとはいえない終わり方なのですが、雄大な大雪の自然が表現された作品でした。
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